2017年5月10日水曜日

フランスの大統領選を見ながら思ったこと。

今回のフランス大統領選は私もとても関心を持って見ていました。

私のパートナーがフランス出身で、彼を通してフランスの友人も増え、
その歴史や文化に触れることが多くなり、フランスに行く機会も増えたからです。

今回のフランスの大統領選挙ではいろいろな政治的な視点からの批評がありますが、
私はノンポリなので、政治的な視点からの意見ではなく、
まったく一般の、まったく私自身の個人的な視点から
思ったことを書いています。その点をどうかご了承ください。



今回選ばれたEmmanuel Macron エマニュエル・マクロン氏は39歳。
若手のルーキーです。

お医者さんの息子でピアノも弾ける芸術家、
そして哲学と文学への造詣があるインテリジェンス。
奥様は24歳年上の方、学生時代の恩師だそうで、
その時代からの愛を貫いて結婚を実現し、今に至るそうです。

エリートで頭もよく、行動力もあり、言動一致でまっすぐな人間。

銀行家としてキャリアを持っていますが、
政治界でのキャリアは少なく、若いのでカリスマ性を持つまでには要経験値、
でも、自分の意思ははっきり言い、意志を貫く強さを持っている人だと感じます。




一方の Marine Le Pen マリーヌ・ル・ペンさんは
父親も政治家ジャン=マリー・ル・ペン氏です

ご本人も政治家としての貫禄があり、カリスマ性もあり、
ダイナミックで行動力があり、意見や態度がすごくはっきりしている。

父親が立ち上げた国民党をつぎ、
反EU、移民反対主義にしたがって政治姿勢を貫いてきましたが、
「人種差別主義者」といわれるほど、
移民や外国人に対して排他的な政治方針を掲げていました。


ざっと書くと最終バトルを繰り広げた二人はこんな感じですが、
もっといろいろな社会的な経歴や個人的なストーリーなど
多くの語るべきバックグラウンドやエピソードがありますが、
それはさておき。






私が今回特に関心を持ったのが3つのこと。


ひとつは、


フランス人の政治投票率の高さ。



今回は最終投票にはおよそ75パーセントにしかいたらず、
無効票がおよそ10パーセントほど、
その投票率の低さは近年稀に見るものだった、ということでした。

でも、日本の政治投票率と比べてみてください。
日本の若者の政治への関心度とを比べてみると、
フランスははるかに多くの人々が政治に関心を持っている。
日本では考えられないくらい、投票率が高い。


それにはいろいろ理由があると思いますが、
ひとつには、自国の代表を選ぶのに一個人の一票の重要性が違うことがあります。


日本では首相を国民投票で選出することができない。
日本人が個人として投票できるのは国会議員の選出で、
首相はその国会議員によって投票され決まるというシステムなので、
フランスやアメリカのように、国民の直接投票によって国の頭首が選ばれるのとは大きく違います。


フランスやアメリカのような直接選挙制によって国の頭首が選ばれる場合には
政治家個人の国民評価が大きく反映されます。


政党への傾倒はあっても、
結局は候補者自身の「人となり」
そして「個人としての生き方や姿勢」などが問われるので、
選ぶにあたっても、その対象がはっきりしている。

だから自分の意見も反映されている、自分は政治に参加している、
と感じることができます。

日本の場合は、国の首相の選抜については、間接選挙制政治体制になっているので、
個人の意見や意志が反映されるには、ちょっと距離がある感じです。

外から見るとなおさら明らかで、やはり社会全体が個人主義ではない
「民主主義」であることをさらに実感します。

どちらがいいか悪いかということはここでは置いておいて
自分の国に関する政治の体制に対しての関心の高さの違いを
つくづくと感じました。


それから、これはどこの国の選挙でもそうですが、感じることは

選挙の結果には、時代の流れと新しいものやことに対する期待と不安が反映されていること。

多くの国の首相や大統領の選挙の場合、たいてい候補者の中には、
古いものを周到する立場の人たちと、新しいことを提案する人たちがいます。


そしてそれぞれの流れに対して、どのように人々が考え反応するのか、
それが反映する選挙。


今年のフランス大統領選は、若く新しいもの、未知の可能性への期待が勝ちました。


と、同時に、もはや人種や移民の問題を解決する道は、
排除という方法ではない形で解決をしていかなければならない、
ということが反映されたようにも思います。


いずれにしても、いろいろ難しい課題の中、
彼が若くして選ばれたことは偶然ではないと思います。

時代の流れは新しい方向を求めていることが明らかである、と感じました。



外国人として、いわゆる「自分の国」ではない国に暮らしている私としては、
国を超え、人種を超えた世界になっていくことを期待しているので
このような流れにいってくれるといいなと思っていますけれど。



選挙が終わってからの人々の反応

さて、では選挙の結果選ばれた大統領に対して、
人々はどのように対応、反応していくのでしょう
選挙は一種のお祭り。そして終わりであり始まりです。

新しいものを受け入れよう、という姿勢を持ち
新しいものに期待をしながらも、
同時に批判がついて回ります。
さらに時間が立つと、その姿勢と期待が変化していきます。

選んだその人たち自身が、
やがて自分が選んだ人を信頼してサポートするかわりに
それを潰そうとしていく力も出てきます。

このような動きは
私たち自身が人生をクリエイトしていく段階でいつも通る道です。


   「私たちが選んだ人(決断)が果たして正しい選択だったのか。」


またその選択に参加できなかった人たち、
つまり他の人を選んだのに結果が反映されなかった人たちは、
自分が選択しなかった人を受け入れることになります。


特に今回の選挙に関しては、最終的に候補者として残った2人に対しては
いずれもしかたなく投票した、という人も多かったようなので、
2者択一を強いられた国民が、いろいろな意味で「最終的にたどりついた結果」を
どのように受け入れるかがこれからの課題です。


   「結果を受け入れられるか。そして今ある状況にどのように対応していくか」


選挙が終わり、結果が出ると、私たち多くの民衆は、
結果によって選ばれた人を、肯定的な方向や支援する方向にいくのではなく、
常に批判的な部分を探し、疑念を持ち続け、
自らの結果を前向きに持って行こうとせずに
いつも後退させていこうとしているように思います。

それは、選ばれた人に対して期待をし、
依存し、その期待と依存が思い通りにいかないと、
「これはだめだ」とすぐに違う方へ向かう傾向があるからなのだと思います。



「今の政治システムではあるものの中から選ぶしかないし、
選ばれた人(この場合は大統領)の元でしか動くことができないんだから。
自分の意見と合わな い人が選ばれたら、批判的でいるか無関心でいるしかないだろう」

そういうふうに言う人も多い。

でも、それは、人への依存からくる言い訳。
他力本願の生き方で
自力本願の生き方ではないから出てくる言葉です。



結果を受け入れて今をどのようにしていくか、ということを常に考え、
選んだ政治家や代表が問題につきあたったとき、
どのように解決できるかを一緒に考えることが、
本当の意味での政治に参加するということなのだろうな、と思うのです。



それと、今と未来を見つめていくときに、
いつも過去と比べてしまう傾向がある。


過去から学び、未来を創るといいますが、
過去の学びを本当に活かせるのは、
「今」をどのようにするかを考えることが最善の道で、
わざわざ過去にサンプルを求めにいく必要はないのではないかと思います。

だって、「今」は過去の結果なのですから。

ちょっと偉そうなことを言っているように聞こえるかもしれません。
でも、これはすべて私自身へ言い聞かせている言葉です。

人のことを批判する前に、自分を見直さないと...。
他力本願にならないように、自力本願で生きるようにしたいな....。
過去のことにこだわらず、常に 今と未来を見つめていけるようにしよう......。








私は、まだまだ自分を改革することに精一杯で、
政治のありかたや政治家に関して批判するレベルにいません。
だから、政治に関してもガタガタいいません。

一方で政治に無関心でも平和に暮らしていられる状況の国に
いることに感謝しています。




本当のことをいうと、
自分が実際に住んでいる場所に対して深く関心があるのですが
一方で、スペインに住んでいる外国籍の者は
スペインの国に関わる選挙に対しては投票権がありません。

それでも私はここに住むのが好きで選んだので、
ここにいて、ここのシステムを受け入れ
ここの平和を享受しているのです。





でも、今回の選挙を遠目近めに見つめながら、
同じ視線で自分を見つめ直しました。



日々の生活の中でどのように自分の人生を決めていくか、
決断に対する姿勢を考えるべきだと
あらためて自分に言い聞かせる機会になりました。






     私は自分が選んだ決断とそれによる結果を受け入れているか。

     そして、そこからさらによい方向に行こうとしているか?

     過去にこだわらず、いつも今に目を向けて未来を創っていこうとしているか?

     さらには今さらに決断する勇気を持ち続けているか。




そんなことを考えさせられたフランスの選挙でした。